雨に佇む男の子。
その男の子をみた瞬間に思ったことは儚いなだった。綺麗で今にも消えてしまいそうなその子。
でも俺を見た瞬間に寂しそうに笑ったんだ。
「こんにちはニコッ雨急に降ってきましたよね笑」
「家近くなの?」
「いえ。あまり近くはないんですけど、たまたま事情があってこの町に来たんです。」
「そうなんだ。結構遠いの?」
「あ、まあ。隣町なんで近いのか遠いのか分からないんですけど笑」
「どうやって来たの?」
「あ、歩きです。」
「そっか。タクシー呼ぶ?時間かかるかもだけど。田舎だからね笑」
「俺の町のほうが田舎だと思います笑タクシーないんでね笑」
「あ、もし良かったら俺んち来る?」
「え、良いですよ!悪いですし。雨上がったら適当に歩いて帰るんで大丈夫です!」
「帰りたくないんでしょ?笑」
「え?な、なんで?」
「分かっちゃうんだよ。そういうの笑」
「表情とかですか?」
「まあそうだね。表情とか喋り方とか。否定の仕方とかね笑」
「そうなんですよね、、、帰りたくなくて。」
「どうして?」
「俺好きな人がいて、付き合ってるんですけど心配とかかけたくないんです。」
「心配かけるようなことしたの?」
「えっと、、、」
「話さなくていいよ?話したくないのなら。」
「あなただったら良い気がしたので言いますね。俺、この町の病院に来たんです。俺の町病院なかったので、この町に来るしかなかったんです。」
「どこか悪いの?」
「あまり同情はしてほしくないんですけど、病気みたいで。治るかは今はまだ分からないって言われたんですけど、治療法が見つからない限り、一年しか生きられないだろうって言われたんです。ごめんなさい笑急にこんな話して。」
一年、、、きっと長いようで短いんだろうな。
「君、今何歳?」
「十六です。」
「それで、付き合ってる子に心配かけたくないと。」
「そうなんです。」
「実はね、俺も彼女を亡くしたんだ。男子だったんだけどね。その子は心臓病で亡くなったんだ。名前波瑠って言うんだけど、波瑠も最初は心配かけたくなかったらしくてなにも教えてくれなかったんだ。でも、ある日波瑠は言ったんだ。嘘ついてごめんね。実はあんま生きられないかもしれないんだよねって。」
「それで、どう思いましたか?」
「もちろん最初は心配だった。でも、嘘ついてたのは俺が嫌いなんじゃなくて心配かけたくなかったんだって分かったよ。言われなくても分かるもんなんだよ。波瑠は、自分よりもいつだって相手を優先して、なによりも相手と向き合って自分の中で答えを探して、答えが出てももう一度確認する。それで、大丈夫って思ったら行動に移す。そういう子だって知ってたから。きっと君が思っているより、相手の子はきっと強いよ。君が思っているより、君を大事に思ってる。大事に思っているからこそきっと受け止めてくれる。」
「あの、あなたは波瑠さんになんて言葉をかけましたか?」
「心配かけたくなかったんだよね。波瑠、話してくれてありがとう。でも、もっと俺を頼ってね笑心配だけど、心配するだけじゃなにも変わらない。これからは、もし波瑠がもう少しで死んじゃうとしても、長く生きられても、沢山思い出作って絶対に幸せになろうな。って言ったよ。」
「あなた名前なんていうんですか?」
「那留だよ。」
「那留さんってとっても優しいんですね。波瑠さんが亡くなったときどうやって立ち直りましたか?」
「立ち直ることなんて出来ないよ。今でもずっと引きずったまま笑でもね、これからも波瑠の分まで生きようって思えたのには理由があったんだ。一つは、波瑠が残した日記と手紙。それと俺が撮った写真と動画。二つ目は、波瑠の声がたまに聞こえるんだ。そんな時に、いつもずっと愛してるよ。那留がおじいちゃんになるまで待ってるねって言ってくれるんだ。そのことが俺を奮い立たせてくれる。」
「波瑠さんもいい人ですね。」
「そうだね。波瑠はいい人。」
「俺、彼氏に話します。波瑠さんと那留さんのような素敵な関係になりたいです。今度来るときは彼氏も連れて来ます!なので、連絡先教えてくれませんか?」
「いいよ。〜〜〜〜〜〜。」
「ありがとうございます!」
「というか待って。君と君の彼氏さんの名前は?」
「俺は裕樹で、彼氏は琉斗です。」
「ありがとう。裕樹またな。」
「はい!また!」
一回ここまでで切ります!また後で書くので続きが気になったら見てみてください!お願いします!
8/27/2024, 1:55:26 PM