彼岸花

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テーマ「落ちていく」

〇月〇日
私は誰かに押されたのか、ぶつかった拍子なのかは分からないがいきなり空中に放り出された。

突然の浮遊感が襲い、どうしていいのか分からずただ落ちていく。

この高さから落ちたら…死ぬーーーー

そう思わざるおえなかった。

しかもその時の私はパラシュート等は付けていない状態の中、空中に放り出された為、
自分でどうにか死を回避する方法が思い付かなかった。

手を伸ばしても無意味とばかりに空気しか触れられない。

私はここで死ぬのか…

そう思ったその時、私は目を覚ました。

眠っていたはずなのに息が上がっていて運動した後みたいに汗だくの状態だった。

「あれは本当にただの夢だったの…?」

まるで本当に体験したように感じていた私にはそれが嘘と思えず、1日気を付けて行動しようと気を引き締めた。

そして仕事中、建設途中のビルの一角にあるレストランの進捗状況を確認し終えて午後から視察予定の社長と副社長を迎えに屋上へと向かった。

今回のレストランの仕事を依頼されたのは
付き合いの長いお得意様の社長と副社長で、忙しい中必ず視察に来て下さる方々。

とても細やかな気遣いをして下さる方で今回も進捗状況の確認で来ると聞いて私も現場の作業員もお会い出来るのを楽しみにしていた。

頭上からヘリコプターの音が聞こえて着陸すると社長と副社長が現れた。

「やぁ忙しいところ、視察の時間を割いてくれてありがとう比嘉さん。」

「こちらこそお忙しい中ご足労いただき、ありがとうございます。
今回のプロジェクトに携わる社員一同、お2人にお会い出来るのを楽しみにしておりました。本日はよろしくお願いいたします。」

ぺこりとお辞儀をすると副社長が穏やかな微笑を浮かべていた。

11/23/2023, 10:29:33 AM