奈々

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みんなにはきっと

[届かない想い]

私は人間で、彼は幽霊だ


と、言っても、自分以外の人たちは、幽霊を信じない

私も、当時、小学1年生で、6歳のときに脳出血をして
右半身麻痺になる前には、幽霊なんて視えなかった。


入院中でも、貞子のような幽霊など、ごく普通な人間姿の幽霊を視たりと、看護師や医者に   

『ねぇ、あの姉さん髪の束をくれたの』


と、報告しても相手は汗ひやりと

『さ、部屋にいきましょうか…』


車椅子を押すスピードが、少し速く感じた

看護師は、ササッと、ベッドに私をゆっくり倒して
お辞儀しながら仕事に行ってしまった

私1人だ…


4人の入院部屋の中で私1人で
調べてみると、私が入院している病院は、築70年はする古い病院であり、
髪がやたらと長い女性の幽霊がロビーに現れることが
多いらしい。そして、わたしが知らない女性から貰ったのが、やたらと髪が長い髪の束だったのだ
退院してから、実家から徒歩5分で行けれる大きな寺に
1人で行き、幽霊の女性から貰った髪の毛を供養させて
もらった記憶も今でもある。


日が経ち、私はもう23歳
有名な大学病院で就職しては、
人がいないのに、人の影を視たりと、
足がない幽霊など、久々に幽霊を目撃するようになったのだ




??『ねぇ、』

(?)

『ねぇ…』

(誰の声?男性の声だ…)


声の主が、だんだんと姿を現れてきたのだ

(カッコいい…って、違う違う!相手は、幽霊なんだから!)

『僕…笹本と、申します…』

幽霊の、彼の名前は笹本さん
服装は、1990年代に流行ったソフトジーンズを
履いており、
年齢も不詳だけど、見た目はとても若い
1990年代に生きていた男性だったのかな?と、
自分で自ら推定できた


当時、彼氏がいない私にとって、好みの爽やかイケメン
男性だったが、
相手は、人間ではない。幽霊だ。と、自ら言い聞かせていた。


『ゴメンなさい。今、仕事中ですので…』
と、小声で言い、

『えっ!ちょっと待ってよ!』と、
幽霊の笹本さんは、私に憑いてくる

(幽霊と触れ合うの慣れているし、憑いてもいいけれど…)


『仕事が終わってからでもいい?』

(幽霊だしな…相手がいないなら…)

幽霊の彼は、困った顔で畏まっていた




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『仕事終わったよ』


新しくできたアパートで1人暮らしをしているが、
お香が大好きでお香の白檀を、たくさん付けていた  
その為、笹本くんは、気持ち良さそうにリビングへと
行った。

幽霊は、食べ物ではなくて[水]を好むらしい
と、本で読んだことあるが真相はどうなんだろう?

机に水を置いた

私は幽霊と接するとき、[さん]とか使わないのが私のマイルール


『僕…下の名前を忘れてしまったんです…』

『そうなんだね…』

『笹本さん、笹本くん…と、呼ばれていた』


と、発言して
笹本くんの次の名前は自ら忘れてしまったらしいが、
私は、笹本くんと
笑顔いっぱいに微笑み、彼を見ながら
お互い友達のような感覚だった


想いはまだ分からない



死にたくて死んだんじゃない…
この世間から消えたかったんだ…
 

初めて笹本くんと会った日、彼の落ち込んだ
表情で、そう思った










『岡田有希子…愛知県に彼女の墓があるんだって』

私の両親は伝説の昭和アイドル岡田有希子ファンだった
しかし、岡田有希子(本名、佐藤佳代)飛び降り
自殺してしまった

それ以降、私の両親は推しが無くなり、推し変更をして中森明菜と、少年隊など…推しに推しまくり、
癒えたらしいが、


両親は、伝説の昭和アイドル岡田有希子の自殺すごく
ショックを受けたと、聞いたときは
驚いた。

私も、中〜高校生まで中島裕翔が好きで、中島裕翔似の三浦春馬も興味を持ち、彼の作品を見た。

だけど、春馬も自殺してしまった

ヒカルの碁、幽霊キャラクターである
藤原佐為も入水自殺した幽霊キャラクターであり、
1000年も、彷徨っていた。


(自殺者って、1000年…1000年以上も彷徨うのかな?)

変な想像したけれど、側には幽霊の笹本くんが
いるだけで幸せ

『………』

『………どうしたの?暗い顔して…』

『…何でもない…』

本当は聞きたい
だけど、言えれない自分がいる
  

『藤原佐為だって、囲碁で負けたでしょ
生きる場所がない…だから、彼は、入水を選んだ…
僕は…生きるのが疲れた…だから首吊りを選んだ…』

『人生の中でやりたい事なかったの?』

『………結婚………』

(結婚か…)

『結婚できなければ、俳優の道を選んだ方がマシだったよ…』

私はソッと笹本くんの側に行き、ハンカチを渡したり、
包み込むように抱きしめた


『実は、原宿や、東京駅前でスカウトされたことが
あって、、』

『うん…』

『そのとき、医者になる覚悟を決めていたし、
だけど国家試験が落ちて…』

『きっと、、これからだったんだよ…辛かったのは、幸せになる途中だったんだよ…きっと………』

『僕が君に憑いたのも、、君が病院の患者さん達と笑顔で接して、もしかしたら、僕も触れ合えば…きっと成仏に近づけるのかなって…』

『もうカップルのような存在じゃん』

と、彼の顔近くで発言しては頬がピンク色に染まっていた。
  

『進撃の巨人みたい…』

『えっ…あっ、そうね!わたし、進撃の巨人DVD持ってた』と、DVDを取り出して2人で実写版進撃の巨人を見始めた


笹本くんも、

『三浦春馬の進撃の巨人を鑑賞してたなぁ』


と、
幽霊姿で映画館で鑑賞していたのかな?と、推測できるし、幽霊ならば、透明だし、もし一日中幽霊になれるのならば、笹本くんのように映画館で鑑賞したい気持ちになった

笹本くんは、懐かしそうに発言していたし、進撃の巨人
アニメバージョン、実写版を見比べてみると、
設定が全く違っていた



そして、


婚活1000回ノック
100万回言えばよかった
ほんとにあった怖い話

など、見た


チャチャチャチャーン
チャチャチャチャーン
チャララララー〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


『わー!?きゃ‼︎』

笹本くん、幽霊なのに、幽霊登場の瞬間から彼は、
怖がって私に抱きついてきた。

(笹本くんの肌ドライアイスみたい…とても冷たい…)


だけど、2人は、とても幸せ気分だった


後日………




『自殺は、してはいけないよ』




包丁を持って自殺しようとした私も、彼の両手によって
止められた。



そう教えてくれたのは、幽霊だった笹本くんだった


だけど、自殺をしたくなるときが、しばしばあった

『死ね』

『病気人、こっちに来るな』

『病気が移るから、コッチに来ないで』

病気になっただけなのに、どうして
身体が違うだけなのに、体如きで差別された経験がある

飛び降り自殺しようと思ったが、先生に見つかり自殺ができなかった


だけど、幽霊だった笹本くんに出会ったとき
ふと

『自殺は、してはいけないよ』

その優しい笹本くん発言が蘇る

死後の世界…私の中では、真っ暗な世界だと想像して
しまう


彼は、まるで、ブラックホールのような惑星へと吸い込まれるように、私が知らない男性2人に前に手錠のようなモノで拘束されているように視えたが…


『えっ???????笹本くん⁉︎』

いきなりだったから驚きを隠せなくて
だけど、笹本くんは、チラッと


真っ暗な世界へと歩いて、

『ありがとう…』と、

感謝と号泣している声で聞こえて消えてしまった



その後の、私1人だけのアパート生活は、
元通りに戻ったが、笹本くんといた時間はもう無い
過去は過去だ。



自殺は、してはいけないよ


彼の言葉を信じて、私は自殺しないで生きてゆきます。
貴方はもう2度と帰って来ない


とても、辛いけれど、だけど、きっと、巡り会える
と、そう信じて………

笹本くんへと、届かぬ想いを…
進撃の巨人いってらっしゃい歌詞を替えて
いつも1人で風呂場の上を向いて歌っている


ずっと探していた
捧げた心臓の在処
本当の想いを教えて
夢物語でもいいから

最後に何がしたかった?
どこに行きたかったの?
私はね、また貴方に逢いたいよ
一緒に来世、出逢おう

もしも明日が来るのなら
貴方に花を贈りたい
もしも明日が来るのなら
来世のことを語りたい

微笑み 笑って 転んで
泣いて 庇って 抱いて
また会えるよね
おやすみ

4/15/2024, 11:04:04 AM