SudaKorno

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花火の音がした。
何度も、何度も。
どうやらどこかで花火大会が開かれているらしい。

慌てて窓からキョロキョロ探す。
海が見える高台のアパートの一室に越したのは、前年の末。日当たりと風通し、あと家賃の兼ね合いで決めた部屋だった。

東側に面した窓からは、海から昇る初日の出を拝むこともできた。多少難はあれども良い部屋を借りた、そう思っていた。
部屋から花火が見えるなら、なんと素敵だろう!

そしてまたひとつ、花火の音がした。

視界の端で空がパアッと明るくなる。南東側だ。間違いない。

期待に胸を踊らせながら窓をのぞき、次の音を待つ。

ドーン!!!

なんということか。
待ちわびた光の華は、先月に完成したばかりの高層マンションの影にすっかり隠れ、私の目には一欠片もうつらなかった。

音と空を染める光の余韻だけ。
そうそう上手くはいかないか。

風に乗る火薬の匂いを肴に、一人苦笑したのだった。

9/26/2023, 1:15:11 AM