クレハ

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女好き。
来る者拒まず。
人でなし。

多くの罵倒を聞きながら、へらりと笑みを浮かべる。
そうはいっても、である。
みんな、俺のそういう軽さが楽で俺を選ぶのに最後はいつも怒られる。
割り切った関係でいいって。
一夜の関係だって。
そう言ってたのにね。

「俺が悪いの?」
「悪くは……無いのよねえ」
「でしょ?」
「でも…ううん……」
「なぁに?」

最初から伝えてる。
本気の子を遊びの相手に使うやつよりよっぽどいいと思うんだけど。
何がダメなんだろう。

「優しい、のよ」
「優しい?」
「遊びならその時だけで良いのに、普通にデート行くし、気遣うし?」
「え、だってそれ、お詫びだよ?心はあげられませんって」

言ったら、彼女は呆れたように溜息を吐いた。
そんな顔されるようなことなのかな。
わかんないや。

「割り切らせて貰えないあの子たちがかわいそう」
「いつも叩かれる俺はかわいそうじゃないの?」
「はいはい。かわいそかわいそ」
「心がこもってないよお」

頭を撫でられて、慰められても、全然ダメだ。
でも、気持ちいいのは確かだからもっとって頭を押し付ける。
ふふ、って楽しそうな声が聞こえた。

「あなたはどんな子を好きになるんだろうねえ」

知らないよ、そんなの。

「本気の恋をしたら、何か気付けるかもね」

何も変わらなかったよ。
だって幼いあの頃からあなただけが本気の恋。
頭を撫でる左手の薬指。
見たくなくて、強く目を瞑った。

お題「本気の恋」

9/13/2023, 9:18:13 AM