暁冬

Open App

【この場所で】
いつもの場所集合ね
私達にとって(いつもの場所)という言葉は合言葉のようなものだった
いつもの場所という言葉は特別だった
当たり前の場所
いつもここから始まっていた
何をするにもここから
私はこの場所がとても大切で思い出がたくさん詰まった場所だった
ある時いつもの場所は私にとって辛い場所へと変わった
親友が死んだ
私を庇って私の目の前で私のせいで死んだ
私が人にぶつかられ駅から線路に落ちた
落ちそうになって親友がかばった
次に親友を見たときには
親友と言われてもわからないほどぐちゃぐちゃだった
そして親友の首から上が私の目の前に落ちてきた
わたしは思わず蹴飛ばしてしまった
最悪だった
その日からいつもの場所に行くとその光景が浮かんでくる
わたしはその場所に行けなくなった
親友のお母さんがあるとき家にやってきた
親友の日記を渡して帰っていった
親友を蹴ってしまったことをまだ怒っているのだろう
当然だ
日記を見るとそこには私のことがたくさん書かれていた
この場所で親友を待っているときが一番楽しいと
待っている間こんな事もあったなとかあんな事やったなと思い出すのが楽しいと
私は泣いた
私はその親友の親友との思い出を忘れようとしていた
忘れられないのに無理やり忘れようとしていた
親友が死んでから一度も行っていない二人だけの秘密基地
いつもの場所に行くことにした
そこには親友からの手紙があった
そこには引っ越すこと楽しかった思い出すべてが書かれていた
私は引っ越すことを知らなかった
最後まで隠し事の多い親友だったけど私は親友が大好きだ
正直死のうと思っていた
でも親友の分まで生きることを決めた
そういつもここから始まるこの場所で

2/12/2024, 5:03:19 AM