中学2年の夏の話。中学生になって初めてできた友達が遠くの街に行く。
私の名前は楠木柚葉。今ではクラスの中心のような存在で、自分で言うのもなんだがカースト上位だ。
だが、最初は私もクラスに馴染めず、仲のいい友人もいなかった。でも、そんな私に話しかけてくれたのが、『西条楪』だ。最初の名前が同じゆずだね。って、話しかけてくれた。すごく仲良くなって、毎日が楽しかった。でも段々と、私が陽キャになるほどに、楪との距離は離れていった。ずっと話しかけたかった。そして今日、楪は引っ越して違う中学に行く。
だから私は、楪に向かってこう言った。これが最後の会話になるだろうから。
「最初の名前同じゆずだね!」
と。
楪は一瞬驚いた表情をしたが、直ぐにこう言った。
「ほんとだね。同じゆずだね。久しぶり」
これが友人との最後の会話。
そして私は今日、楪が参加する同窓会に行く。
最初の言葉はもう決めてある。
テーマ【遠くの街へ】2/28 #1
2/28/2024, 11:20:15 AM