安藤 あん

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Title 今日も君と見た月の奇跡を待っている


月を見ると、いつもあの日の懐かしい記憶が蘇ってくる。
そう、今日は26日目“有明の月”だ。

〜10年前〜
当時の私は5歳だった。中学生くらいの近所のお兄ちゃんが大好きで、お兄ちゃんと見る月はもっと好きだった。
近所のお兄ちゃん「明里見える?あれが“有明の月”だよ」
明里「キレイ…」
あの今にも消えてしまいそうな月に私は釘付けだった。
明里「なんで有明の月っていうなまえなの?」
明里「明かりはあんまし無くない?」
近所のお兄ちゃん「ふふっ、明かりが強く有るから“有明の月”ってわけじゃな     いんだよ。」
近所のお兄ちゃん「この月はね朝まで消えないんだ。明かりは小さいかもだけど、朝までじっと有るんだ」
明里「他の星は消えて、お月さまは寂しくないのかな?」
近所のお兄ちゃん「きっと寂しいと思うよ。だから願おう」
             “また逢えるように”

〜現在〜
懐かしいな。お兄ちゃん今どこにいるんだろ、元気かな。
近所のお兄ちゃんは高校生になって東京の都会へ引っ越していった。
ここは田舎だし夜は真っ暗、だから月と一緒に夜を迎える。
明里「やっぱ、小さな明かり」
主張の小さい光は目印にもなれずただ、朝をじっと待つしかできない。


明里「ん…朝か」
夜があけた。月の光もだんだん薄く弱まってきた。
明里「夜が明けても上空に残っているなんて…私みたいな月ね笑」
いつか逢えるだろう。今日も星に願った。

5/26/2023, 1:04:57 PM