テーマ:初恋の日 #175
僕の初恋の人は、
明るくて僕とは正反対の人でした。
彼女が太陽なら、
僕は夜の闇でしょう。
月にさえなれない僕は、
君の隣には並ぶことができない存在。
そんな僕の心を掴んだ彼女を好きになった、
僕の初恋の日は七夕まつりのある7月7日。
浴衣姿の彼女は、
迷子で泣いている子供に目線を合わせ、
頭を撫でて話をしていた。
僕だったら泣いている子供なんて、
見て見ぬふりをするのに。
そんなことを思っていたら彼女はその場で叫んだ。
「勝俣くんのお母さーん!」
大きな声だった。
彼女は身長もそんなに高くない。
一人でいたら、
人混みに紛れ込んでしまうだろう。
それくらいの小さな体で、
どこからそんな声が出てくるのか。
周囲の人もびっくりしてざわめく。
彼女のもとへ一人の女性が走ってきた。
彼女の声を聞いた子供の母親だろう。
何度も頭を下げていた。
彼女は首を横に振って笑っている。
カッコいいと思った。
そこまでしなくても良くないと思った
自分が小さく見えて。
僕はその日、
初めて人を好きになったと思う。
5/7/2023, 12:31:55 PM