六花

Open App

 私は幼馴染の優真と影絵を見に行った。
 影絵を見るのは何年振りだろうか。
 おそらく幼稚園以来だろう。

 「あ、もうすぐ始まるよ」

 声をかけると優真はすぐに振り向いた。
 顔と顔がぶつかりそうなくらい近い。
 恥ずかしくて顔が爆発しそうだ。
 思わず顔を背けてしまう。

 「琴、もう影絵が始まったよ」

 優しく声をかけられる。
 よし、今は影絵に集中しよう。

 「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

 集中したいのにどうしても、隣が気になってしまう。

 「ぼーっとしているけど大丈夫?もしかして体調が悪いの?顔が赤い気もするし‥……」

 不意におでこに手を触れられる。
 彼の手の体温を感じ、動悸がしてきた。
 この感情は何なのだろうか。


■■■


これは2人が結婚することをまだ知らない時の過去のお話。

4/19/2025, 7:20:48 PM