赤い糸
ある日、僕は赤い糸を見れるようになった。
なぜかはわからない。
駅前によくいるカップル
散歩をしている老夫婦
そんな人達の薬指に
その赤い糸はある。
運命の赤い糸というものだ。きっと
誰かと結ばれていない者にも糸はある
誰とも繋がることなく
ただ糸が垂れているだけ。
以外にも運命の赤い糸は
元々用意され結ばれているものではないらしい
運命は人が決められるものではないが
運命の赤い糸はきっと自分が結ぶものなのだろう。
僕の赤い糸は少し縺れている
迷っているからだ。きっと
結ばれたい、いや結びたい人は決まってる
だけど迷っているんだ。
別に向こうに相手がいるわけではない
拒否されるのを怖がっているわけでもない
ただ迷う。その度に糸が縺れる
赤い糸が目に見えるようになった所で
その迷いが無くなることない
逆に縺れるたび焦燥に駆られていった
糸の縺れが解けなくなってきた頃
僕は赤い糸が見えなくなっていた。
なんだかとてもほっとした。
運命の赤い糸なんて見えなくても
駅前によくいるカップルは楽しそう。
散歩をしている老夫婦は仲睦まじい。
糸が見えなくなって少しして
僕は彼に告白をした。
糸を結べたのかはもう見えないけれど
きっと運命は僕の方を向いている。
7/1/2022, 5:28:33 AM