木が枯れてしまった。
私の木が。
私の水となる、あの人の存在や。言葉や。
枯れてしまった。
いつか、桜が咲く季節になっても私の気は枯れたまま。
私の木は枯れたままなのだ。
‘’木枯らし’’
高校三年生の春。
あの時の選択を今も悔いている。
あの人の背中を追わなかったこと。
見送ってしまったこと。
それはきっと、自分の中のプライド。
プライドは、時に凶器である。
プライドは、時に誇りでもあり、埃でもある。
その当時の私にとっては、誇り。
今の私にとっては、ただの埃。
人生は長い。
誰かを思いやるプライドにこそ真価は宿る。
あの時、追いかけてこそ自分。
頭を下げてこそ自分だと、青い私は気付かぬまま。
これはきっと、後悔というよりも、嫉妬。
あの時選択できた未来への。
自分への嫉妬だったや。そうやろ。
新しい未来に、あの人はいない。
ならせめて、私の中で枯れた木を。
私のプライドという名の埃を。
誰かが水をあげてくれるその日まで、私は木枯らし。
1/18/2024, 9:13:09 AM