僕はウソツキだ
傷つくのが怖くて
ウソをついて逃げている──
ウソの剣を振るい
ウソの盾で自身を守る
そんな情けない
出来損ないだ
そんな僕だけど
友達は多い方
いや、友達ではないかもしれない
ウソで固められた
人間関係かもしれない
ウソは何もかもをウソで染める
初めは他愛ない“ウソ”だった
一つのウソが
積み重なって
ウソで埋め尽くされて
“真実”が埋もれていった
──ずっと、そう思っていた
なのに──
「気付いていたよ、ウソだって」
誰かがそう呟いた。
途端に皆が口にする。
「俺も気付いてた」
「私も」
「僕も」
“だって、顔は正直な反応してたから”
特に目、だって。
僕、ウソをついている時……
目を逸らしたり、俯いたりしてたって。
この日から僕は
ウソツキから
ばか正直者(いい意味で)と言われるようになった──
(2023.06.02/正直)
6/2/2023, 12:21:02 PM