ジャングルジム
前の席の女子が楽しそうに雑談をしている。
ぼくはお腹が減っていて、しかも給食はとてもおいしいものだから、いつもみんなより早く平らげてしまっていた。
おかわりをしようかと思ったけど、それはやめた。
いますぐに校庭に出たい。
今なら校庭を独り占めできる。
ぼくはそそくさと一階に降りて足を靴につっこんで
外へ走り出した。
日差しが丁度良く暖かい。いい天気。
でも、もたもたしてるとみんなが来てしまう。
うーん今日は何して遊ぼう。
ふとジャングルジムが目に入った。
とっても人気だからすぐに人だらけになってしまう、
けれど今は関係なしに満喫できる!
腕を伸ばし、手すりに手を掛けて登っていく、
後ろを見ると自分の身長とは比べ物にならない
とても高い位置にいるように感じた。
頂上は、あと少し!でもなんだか怖い。
思えばちゃんと登りきった事はなかった。
高いとこは怖くて、足もすくむし
下を見ると力が入らなくなる。
手汗もびっしょりだった。
諦めようかと思ったそのとき、てっぺんに何か気配を
感じた。
懐かしい。そんな存在感だ。
何がいるのか、ぼやけているようで
目を凝らしても分からない。
ここで逃げるのは、あまりにもったいない。
きっと登った方がいいと思った。
最後の手すりに手を伸ばし、いっぺんに身を乗り出した!
そこには友達のゆうきがいた。
なんだ…ゆうきか。
ぼくを見るなり
おまえもう給食たべたのか、早いなと言った。
ぼくは落ちないように気をつけて隣に座る。
眺めのいいとこで
ゆうきとぼくはゲームのボスが倒せないとか
あの女子が好きだとか、
どうでもいい事で盛り上がっていた。
長い間、しゃべくっていた。
もう随分とゆうきと話してなかった気がしたから、
とにかく楽しかった。
すごく懐かしい。なんでだろう
勘繰ってみる前に、チャイムが鳴った。
戻らなきゃ
最後に久しぶりにこんなに話したような気がする
と言ったら、そいつは笑ってくれた。
あの日以来、もうゆうきの夢は見なくなった。
9/24/2023, 5:37:21 AM