しろ

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たそがれ

彼女はいつものように駅前のベンチで待っていた。日が暮れ、徐々に闇が迫ってくる中、彼女の心は不安でいっぱいだった。

彼との待ち合わせ場所であるはずの駅前通りは、人々の姿がなく、薄暗い街路灯の光が彼女の心をさらに暗く映し出す。

彼女は彼の連絡がないまま、そっと手元の携帯電話を見た。しかし、画面は真っ暗なままで、彼からのメッセージは届かない。

心配に駆られた彼女は一人で彼のアパートに向かった。玄関の扉をゆっくり開けると、中から漂ってくる腐った臭いが彼女を襲った。

部屋に入ると、そこには彼の姿がなかった。ただ、闇の中に彼の携帯電話だけが光り輝いていた。

彼女は震える手で携帯電話を手に取り、画面を確認してみる。すると、そこには彼からの未読のメッセージがあった。

「俺を探すな。もう二度と会いたくない。」

彼女は呆然と立ち尽くし、どうしてこんなことになったのか理解できなかった。

彼女は彼の消息を追い求める日々を送った。駅や街角で彼の姿を探し回り、彼の友人や親族に問い合わせをするが、誰も彼のことを知らないと言う。

数ヶ月が過ぎ去り、彼女は彼の行方を諦めかけていた。彼はもう二度と現れることはないのかと思った矢先、ある日、彼女は街で彼の姿を見かけた。

彼女は喜び勇んで彼に近づこうとするが、彼はすぐにその場を去ってしまった。彼女は必死に追いかけたが、彼はどんどん遠ざかっていく。

彼女は彼に追いつくために走り続けた。焦燥感が強まり、彼女の足取りも重くなっていく。

やがて、彼の姿は完全に見失われ、彼女はその場に倒れ込む。涙が頬を伝って流れ、彼への思いが胸に穴を開けるような痛みとなって押し寄せてくる。

「なんで、なんでこんなことになったの・・?」彼女の声は夜空に届くことなく、ただ彼女の心の中だけで絶望が響き渡るのだった。

10/1/2023, 11:58:50 AM