君に会いたくて
日々が憂鬱で暇さえあれば、どこか別の
世界にでもスリップしてしまいたいなどと空想している僕。
家に帰ればヒステリックな義母の怒号が降ってくる。父親は耐えられないと言って出てったきり戻ってこない。
学校へ行けば、片親ということで遠くからクスクス笑われる仕末。もう居場所と言える居場所が無い、明日からは冬休み。ずっと義母と二人きりなんて耐えられない...。
「よし、少しのあいだ家出をしよう。」そう心に決めた僕は行く宛も無いので、取り敢えず寒さを凌げる場所を探し彷徨った。
しばらくすると、忽然と現れた変哲もない地下へ伸びる階段を見つけた。他にも寒さを凌げそうな場所はあったのだが、無性に入りたくなった僕はいつの間にか地下へと降りていった。
降りた先には廊下が一本、奥には扉が見える。恐る恐る扉を開いて覗いてみると、そこには...街?地下へと進んできたはずなのに目の前にはアパートや空といった風景が広がっていたのだ。雨まで降っている。
訳が分からず混乱していると一人、外国の顔つきをした男が声を掛けてきた。
「ーfazjあdajaxjsak?」何語を話しているかはさっぱりだがニュアンスだけ通じた。
男はどうやら付いてこいと言っているようだ。なぜ見ず知らずの自分にそのような提案を持ちかけてくるのかは分からなかったが、それよりも初めて歓迎されるような扱いを受けたことに感動して、勿論!といった感じで付いていった。
1/20/2024, 8:51:43 AM