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電車が出発する、あのプロロロという音。それと共に私は足を運んだ。

普通の駅とはまるで違う、近未来的ではなく、
空を走る電車。夕焼けに溶けてきれいな空を、私は走る。

私以外にも乗る人はたくさんいるみたいだけど
私専用の…いや、客室も用意された特別な列車。
夕焼けに溶けた列車内で、これまでの人生や、人生の意味、大切な人を思い返す。

悪くなかった。って言えれば十分だよね。
乗ってから49日後。優しい声が響いた。

「まもなく、終点。冥界。冥界。」

さて、死人である私は電車で無事に冥界にたどり着きました。
ここからは天国行きか地獄行きかを伝えられてから、私はその場所に行く。

天国とか地獄とか、信じてないけど。
行けるなら天国がいいなあ。

…あの人に会いたいなあ。

そう思いながら後ろを振り返った。
この世とあの世を繋いでくれた終点を、静かに眺めていた。

#終点

8/10/2023, 12:05:04 PM