よわよわめんたる

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無色の世界

コンクリートで整えられた道には無機質な大量のクルマが行き来している。灰色の空を見上げると轟音を鳴らしながらヒコウキが飛んでいる。

私の世界は随分と変わってしまった。
AIといわれる人間にそっくりなロボットが、私たちと同じように生活している。目の色は同じだけど、その奥には何も見えない。光がないのだ。

私はただの学生。
只只毎日同じことの繰り返し。大学へ行って帰ってきて、バイトに行って、課題をして、ご飯を食べて寝る。

社会人の人たちもきっと似た様な生活なのかな。

特に、私とそう年齢も変わらない人達は、みんな同色のピカピカのスーツを身にまとって、お揃いの髪色髪型で、慣れない足取りで歩いている。

個性が必要と言う割には可笑しいなってたまに思うけど。実際はルールがあって、はみ出したものは異常だと言われる。



先程変わってしまったと言ったが、何が変わったかと言うとこの環境だけではない。


楽しくない。モノクロな、否、色などない世界になってしまった。感情の起伏もなく、目の色は無くなり、人間味は露わにならなくなった。

疲れた顔が剥がれなくなった人間。物価の高騰と賃金の低下。お金の為に身を粉にして働き、束の間の色を取り戻すためにお金を使う。そしてまた、お金を稼ぐ為に働く。

昔よりも便利になった世界だけど、何か大切なものが失われた気がする。

きっと戻れない、無色の世界から逃げ出すことなんて不可能で。

ここに色は必要ないのだから。

4/18/2023, 2:48:58 PM