びりびりにしたはずの婚姻届が口に押し込まれたたった一枚の紙きれが身動きもとれないくらいに身体中を縛りつけているぬるりと喉を滑り落ちた刺が、ぱっくり裂けた傷に墜ちて万華鏡に閉じ込められたかのような甘い幻覚が纏わりついた乾いた唇が僅かに開きかかってひくついた一生溶けてはくれないだろう傷を今だけは愛していて
8/6/2022, 12:10:21 PM