M氏:創作:短編小説

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『初めまして』













此処で出会えたのも何かの縁
アナタの時間をワタシにください
画面越しに見るアナタの顔

『いつも眺めさせて貰っています』

細い手足がなぞる身振り手振り
こんな文字列じゃ伝わりはしませんでしょう
荒れて痩けた白頬をどんなに歪めても

『アナタは何も見えていないでしょう』

ええ、知っていますとも
字ばかりが描く世界とやらを
指先を緩く動かす行為で摂める

『アナタの世界に“ワタシ”は要らないのです』

ですが、そんなワタシにもですね
誰かに何かを届けたいと言う願望はありまして
貰い物ばかりがアナタの視線を左上にズラした先に貯まりまして

『贈り主が誰かなんて分かりませんが』

贈られてばかりと言うものは気が引けます
されど贈り主の見えぬ匿名の世界では
ワタシの想いも酷く一方的でしょう

『アナタが指をなぞらせるのと同じで』

運良くワタシは気分が良い
心の形を彷彿とさせるだけありますね
もし形が不快を思わせるのだとしたら

『ワタシが送る全てが刃のように鋭かったはず…』

ワタシは自分の都合に合わせて曲解します
どうか指先にはお気を付けて
感情と言うのは己では何一つ制御出来ないのだから

『アナタもきっと同じでしょう』

話が脱線しましたね
誰かに何かを贈りたいと言う気持ちは
誰かから何かを贈られて初めて抱くものです

『だから指先にお気を付けください』

アナタが抱く不快
ワタシが抱く不快
誰かが抱く不快

『今の時代は己の指先一つで決まるんですから』


題名:始まりはいつも
作者:M氏
出演:?????????????????????


【あとがき】
最後まで読んで頂きありがとうございました
生きにくい世の中ですがどうかお気を付けて
今の時代に石橋を叩く人は存在しないのですから
“転ばぬ先の杖”精神で息を吸いましょう
アナタもワタシも‪✕‬なないように

10/20/2023, 12:16:07 PM