あのたくましい背中が、今はひどく小さく見えた。
縮こまって動かない、君。
泣いてるのかな、と思いながら様子を伺う。泣いてはないみたいだった。
「まじで悲しい時ってさあ、…泣けないんだなあ、
はじめて知ったよ」
「おれさあ、頑張ったんだぜ。
苦手な勉強もさあ、社会の40点、64点になったんだ。運動だって、4日間連続でさむいのに外でて走ったんだ。人間関係も、人が困った時は助けるようにしてるんだ。
なのにさあ、
褒められもありがとうもない。
周りはおれがそういう人間なんだって思ってる。勉強も運動も、道徳的なところも。
全部おれにとっては当たり前なんだ、って。
当たり前なわけねえだろ?あんなに努力して、頑張ったんだぜ?
当たり前、で片付けられるおれって、さあ、」
「…聞いて呆れるか?聞こえてるか?聞こえたらなんでもいいから、返事をして、」
「聞こえてるよ。
あの君が泣くくらいだから、相当がんばったんだね。がんばる、って難しいんだよ。君さ、それを当たり前だって思ってやってるの、すごいんだよ。
でもがんばりすぎは良くないからね、いつか自分を殺めるから。
私が死んでもいいよって言うまで生きてね。
少なくとも私よりは長生きできるでしょ。
死んだ後私と会えたら沢山話聞かせてね。
さよならじゃないよ。また会えるから。
またね。」
男は何度も何度も首を縦に振り、 朝が来るまで泣き続けた。
_2023.12.7「部屋の片隅で」
雰囲気ぶち壊しなこと言っていっすか?
最後の「男は…」で予測変換に「男は」と入れたあと、「黙って」が来たんです。間違えて押しちゃって。
「男は黙って!!」になったんです。
雰囲気ェ…、
12/7/2023, 1:07:55 PM