「いつか必ず一緒になろうや」
大学生の頃、当時付き合っていた彼氏に言われた。
そう言う言葉を言われた瞬間、ぶっちゃけそういう真面目トーンの言葉に鼻白んだ気持ち40パーセント、嬉しい気持ち30パーセント、30パーセント残り、「この人こーいうこといつも誰かに言ってんだろな」だった。
とにかく、女好きでおかしな人だった。
彼曰く、幼稚園の時、男の保育士にイタズラされてから、トラウマでそうなったと。
女性と付き合っていないと、あの時の恐怖に取り憑かれて、震えが止まらなくなる、らしい。
「お前しかおらんねん!!!」と、彼に泣きながら抱きつかれて話された時、私は何も言えなかった。(彼は酔うとそうなる。大体人に酒を勧められると断れないのだ彼自身)
結局、私たちは、大学を卒業して、別れた。
私は女優になる夢が捨てられなくて、東京の劇団に乗り込むことにしたのだ。
もう大阪には帰らないと決めた。
次に帰るときには、骨になってから。
生きてるうちに大阪に帰って、OLでもして、東京の都会に憧れながら、大阪で死んでいくことを、私はなんだか了承出来なかった。
「もう二度とツラ見せんでな。あと、俺はお前が女優になっても分かりません。テレビ見やしませんのんで」
泣きながら早口で彼は言うと、私が別れることを了承した。
きっと、もうこの人と会うことは一生無いと、私は予感した。
何故だか、彼にも、「こいつと会うことは二度とない」と確信していて欲しかった。
いま、私は中堅のタレントになっている。
女優というより、半ば「おもろい芸人みたいなオバさん」という立ち位置。
結局、女優にはなれなかった。
私は今日も、司会の芸人に強めにしばかれながら、頭の片隅であの彼のことを考える。
あの人は、今も大阪にいるんだろうか。
そんなことを考えながら、私は番組のカメラに映る。
そういえば、こんなカメラみたいに、あの人は、私をのぞいてくれたなとか思いながら。
12/7/2025, 12:51:43 PM