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【世界の終わりに君と】

「最期の日は僕と過ごそう」

そんなことを言われたのはついさっき。
まさかあの人からそう言われると思わなかった。

「···これからどうしますか」
「どうするも何も、これで終わるんだよ」
「そうじゃなくて、」
「君と居れればそれでいい」

あの人がそう思っているなんて、全部知ってるなんて何も知らなかった。

「君はこの日を待ち望んでいたんだろう?」
「どうして···」
「君はいつも終わりたいと思っていた」
「知ってたんですね」
「まあね。まあ、君が望んでいたのは“自分”の終わりだったんだろうけど」

いつも望んでいたことが、こんな形で叶うと考えもしなかった。

「そうですけど、最期にアンタといれるなら、もう全部いいんです」
「嬉しいこと言ってくれるね」

これでもう、苦しむこともないし、あんたといれるから、俺の人生にしてはなかなかの最期だった。
“好き”だなんて口にしなくても、アンタは分かってるんでしょう?

6/7/2024, 1:57:08 PM