あれは確か数年前
あなたと出会ったのは
太陽がきらきら眩しい夏でした
初めて会った時から何処となく一線を引いていたあなたは
私にだけではなく誰にでも距離があった
過去で人を信じられなくなったんだと知った
私も人から受けた深い心の傷があったから
何処か共鳴したりその一線の内側に
興味があったのかもしれない
水族館に行って子供みたいにはしゃいだり
イルミネーションを観て寒い中
手を繋ぎながら観覧車の順番をまったり
雪の降る中、山奥の温泉地に泊まり
お酒を交わしながら語り合った
心も体も抱きしめて
今まで言葉で伝えなかったけど、
いつしか彼の隣が私の居心地のいい場所になっていた
そう確信した時、想いを告げようと決心した
彼の一線の中に入れた気がしたから
気持ちがこぼれ落ちる程溢れていたから
仕事の帰り道
しんしんと雪が降る中、
傘をさしながら失恋ソングを聴いた
「叶わない願いならさよならを告げて」
声を押し殺し、泣きながら帰った
あっという間に溶けてなくなる雪みたいに
彼も何も言わずに私の元から去って行った
今でも雪を見る度に彼を思い出す
もし世界にひとつだけ願いが叶う事があるなら
彼が幸せかだけ教えてください
それが知れるだけで少しは報われる気がするから
#世界にひとつだけ
9/9/2024, 10:45:11 AM