「優越感、劣等感」
「初めまして」
「初めまして。ちょっと緊張してるんだけど、よろしくね。異星人との交流会は初めてなんだ」
「私もはじめてだよ。よろしく。地球のユリです」
「ヘシカシのフーです。ユリと話せて嬉しい。地球のことは勉強してきたけど、もしも何か失礼なこと言ったらごめんね」
「ううん。こっちも」
「良かったら、最初に言われたくないことを教えてくれない?これからも地球の人とは交流したいし、知っておきたいんだ。何に触れたら失礼になるの?」
「え?そうだな。よっぽどな事言わなければ大丈夫だと思うけど。その人のコンプレックスみたいな…例えば太ってる、とか」
「太い?胴回りの直径が大きいってこと?」
「胴回りに限らず、横に大きいってこと」
「横に大きいと良くないの?」
「まあ、一般的には」
「縦は?」
「縦は大きい方がいいかも」
「へえ。なんでだろう」
「あとは、目が小さいね、とか」
「顔の前面についてるソレだね。まあ、目は光センサーだもんね。大きいほうが機能が優れてるのかな」
「そういうわけでもないよ。単純に見た目の問題。あとはそうだな、ニキビあるとか」
「ニキビって?」
「これ」
「体の表面の突起については言わないほうがいいんだね」
「うん」
「ちなみに、こっちの突起は?」
「それは鼻だから、高い方が良いんだ。だから、低いねとか言わなければ大丈夫」
「こっちの突起はあったが良いの?人間って複雑で難しいなあ。突起なんかあってもなくても、胴回りのサイズが多少違っても、変わらず素敵だと思うけど」
「ありがとう。それで、そっちは?何か言われたくないことある?」
「あんまりないけど…ああでも、表面のヌメリが足りないって言われるのは嫌かな」
「ヌメリ」
「うん」
「ヌメってた方がいいの?」
「そりゃあ、乾いてるよりはね。私はそこまで気にするタイプじゃないけど」
「へー」
「あとは、腕のシワの入り方が偏ってるとか」
「シワ?」
「私達は腕が六本あるでしょ。これ全部に均一にシワが入ってるのが綺麗なんだ。けど、大体下二本はあんまりシワが出来ないんだよね」
「そうなんだ」
「人によってはシワを作るためのシールを貼ったりしてるよ」
「アイプチみたいなもんか…」
「あとはまあ、よっぽど酷いこと言わなければ大丈夫。エラが小さいとか、触覚が大きいとかさ」
「…エラや触覚のサイズがどうでも、素敵だと思うけど。そっちも十分複雑で難しいよ」
7/13/2022, 5:54:58 PM