誇らしさ
私には弟がいる
それはそれは可愛い弟だった
何でもお姉さん振りたかった私にとって
年下の可愛い弟は天使そのものだった。
私が遊ぶのや喋る事を真似て
何処でも私について生きたがった
そんな弟が愛らしくて仕方がなかった。
よくお姉ちゃんなんだから
しっかりする!守る!
…と自分から言っていた。
そこから少し経ち
弟はとても頭が良い天才だと
よく言われるようになった。
私はとても誇らしかった。
お姉ちゃんとして
よく導いてきたお手本として。
本当に心から
弟が褒められるのが嬉しかった
だけど、それがずっと続いて
私の心は変にねじ曲がった
弟は相変わらず天才と言われ
親も段々弟だけを見るようになった
あんなに誇らしかったのに
いつしかその誇らしさは
妬ましさに変わっていた
弟だけずるい。
私がお姉ちゃんなのに。
私の真似をしてきた癖に。
どうして。
可愛い弟は何処にいったの。
こんなの私の弟じゃない。
そう…言ってしまった
弟はただ驚いた顔をして
そして
僕の姉さんは、ずっと姉さんだけだよ
…そう言われてしまった
昔から変わらない真っ直ぐな目をして
…あー馬鹿らしい
私だけが捻くれて
弟は何も変わらず
こんな私を姉だとそう言い切ってくれるのに
…私は今でもこの子のお姉ちゃんなんだ
なら…こんな捻くれてられないや
弟にとって誇らしい姉でありたい。ずっと。
可愛い弟のために。
そんな弟は今度
成人というものになるらしい
成人として私が立派な背中を見せているのだから
絶対立派な大人になれる筈だ。
いつまでもお姉ちゃんは
君への誇らしさでいっぱいだよ。
8/16/2022, 1:04:39 PM