柳絮

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岐路


(こっちだよ)

「え?」

振り向くとそこには誰もいなくて、真っ直ぐ土の道が伸びていた。先は霞みがかって見えない。白い闇。
首を戻すと、その先にも道があった。シャボン玉に映る光のような、不思議な色の靄に覆われている。
その道へ踏み出そうとすると、また声が聞こえた。

(そっちじゃないよ)

「でもこっちの方がつらくなさそうだし、」

(大丈夫だよ)

大丈夫じゃないよ。泣きながら反対の道へ歩いた。
目が覚めたら病院だった。

6/8/2023, 2:03:13 PM