狼星

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テーマ:放課後 #333

放課後、掃除をして帰ろうとして教室を出た。
しかし、数分後また教室へと戻った。
明日小テストがある教科があるんだったと思い出して。
教室には二人の男子生徒。
二人ともクラスのムードメーカーだ。
二人は身を寄せ合って勉強をしていた。
その内の一人、勉強を教えている方。
私が好きな人……。
私はあまり見ないようにして
ロッカーから教科書を取り出す。

チラッと見た時、彼と目が合う。
そしてなんとも言えない顔を私に向けてきた。
「何?」
私はそう言うと彼に近づいた。
鼓動が早くなるのと、顔が熱くなっていくのを感じる。
何故か彼は箒を持ったままだった。
「ここの問3」
そう言って指差したのは教えている場所のようだった。
あぁ、ここね。
「わかんね―」
そう言いながら教えてもらっている
もう一人のムードメーカー。
私はフフッと笑ってしまった。

「鍵返しておくから、帰っていいよ」
私がそう言うと教室の鍵を取る。
「あざっす」
そう言って電気を消してくれる彼。
足早に帰っていくその姿に焦がれている私。
これが青春でクラスメイトなだけと言わぬなら
この感情は何なのだろう。
教室の鍵を閉め、その鍵を握りしめた。

10/12/2023, 11:05:31 AM