理想を求めて旅立った
その場はまさに“理想郷”
けれどその理想が「当たり前」と化した時
その場はもうすでに
理想郷ではなくなっているだろう。
理想は終わりが見えない。
人は常に高みを目指し、願望や欲に忠実な生き物である
もし其奴らに1番求めているものが終わりなきものだと知らせたら、いや、とっくに知っている。
其奴らに、その事実を目の前で諭したのなら
其奴らは果たして、諦めるだろうか?
終わりなき欲望の行き着く先は何処なのだろうか?
今現在、私がいるこの場は
其奴らの誰かにとって、まさに「理想」
もしくは「自分の欲を満たせる場」だとしたのなら
それは、私にとっても「理想郷」になるのだろうか?
もし、犯罪を犯しても罪に問われないとして
果たして、私は罪なき人を殺すのだろうか?
もし、永遠の財産を手に入れたとして
果たして、私はこの世にない未だ物を望むだろうか?
誰も想像しないものを、望むだろうか?
ここまで来たらわかる人もいるであろう。
理想というのは、自分が見えている範囲内での情報量から1番の最適解を生み出したものである。
それで果たして満足できるのだろうか?
それは日常に化け、自分たちの理想郷を
まるで小さな小さな虫を潰すかのように
当たり前の出来事のように
「理想」を潰している。
理想郷に辿り着くには、
きっと
“想像もできないほど大きなもの”が必要になるだろう
枠に囚われた人々は懇願し、思い込むのだ。
「今自分が望む場所が1番」なのだと。
他の場所は知らない、見れない、見ない。
そんな状況に立っていながら、
その状況を自分でも理解していながら
見てみぬふりをしている。
これ以上己の理想が高くならないように
これ以上、理想郷を潰さないように。
そう願い、思い込み、己の可能性を潰していく人間こそ
酷く愚かなのだ。
それなのに、自分は真珠のように白く、潔白であると
必死になり証明できる根拠を死に物狂いで探している。
それこそ、一瞬の「洗脳」であり「支配」
そして、その愚かな部分こそ
人間としてのいちばんの証明なのではないかと私は思う
(題・理想郷)
10/31/2024, 3:32:20 PM