やわらかな光(途中)
爽やかな風が平原の草花を撫で、遠くに見える壁のような岩山に向かって吹き抜けていく。
小高い丘の上に建っていた筈の古代遺跡が、今は跡形も無く、何処もかしこも瓦礫の山、貴重な歴史的建造物が全て崩れさり、見るも無惨な有様になっていた。
遺跡を中心に地面が陥没したようで、巨大なクレーターに遺跡だった残骸が半分ほど埋まっている。
1歩踏み出す毎に小石や土塊がクレーターの底を目掛けて転がって行く、崩れやすい地面に足を取られないよう慎重に歩みを進め、中程まで辿り着いた時に足底に揺れを感じてしばし立ち止まる。
待ってみても揺れが収まる気配はなく、徐々に揺れが大きくなってきている。立っているのも危険かとその場にしゃがみこみ、自分が降りてきた斜面を見上げれば、真横に走る大きな亀裂。
それに気付いた時にはもう遅く、地滑りに巻き込まれて流されていく身体をなんとか丸めることしか出来なかった。
10/17/2023, 10:05:54 AM