弐式

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冷たくなった掌を擦り合わせて、そっと息を吐いた。ここ最近はすっかり寒くなって、気温が氷点下になることも珍しくない。

駅前には、学生や仕事帰りのサラリーマン、大学生の集団が忙しなく往来している。人の邪魔にならないところで壁にもたれ掛かりながらそれをなんとなく眺めていた。

数分は経っただろうか。スマホの通知音が軽快に鳴って僕はメッセージアプリを開いた。

『もうすぐ着くよ!』


思わず緩んだ口元をマフラーで隠す。
お互い忙しくて会うのは約一ヶ月ぶりだった。電車を降りた人が続々と出てくる。その人混みの中に、彼女を見つけて。

「久しぶり、会いたかったよ!」

「うん、僕も」




君に会いたくて、何分も前からここで待っていたと告げたら。君はなんて言うだろう。

1/19/2024, 10:23:28 AM