【天気の話なんてどうだっていいんだ。僕が話したいことは、】
僕が話したいことは――。
天気の話なんかして、はぐらかそうとしないで。
午前零時過ぎ、僕は総合病院の一室で息を引き取った。
「君はまだ、天気の話をしているの?」
僕がいたはずのベッドの傍から、
ただ、空をじっと見つめる君がいた。
僕が話したいことは―――
*
あーあ、天国に行っちゃった。
鏡で自分の顔を確認する。
ぐちゃぐちゃだ。
ふと、上を見上げる。
「天気の話なんてどうだっていいんだ。僕が話したいことは、」
いつしか貴方が言っていた言葉、
遮っちゃってごめんね。
「―――会いたいよ。」
間違いなく、そう聞こえた。
5/31/2023, 11:43:19 AM