テーマ:本気の恋 #303
―小説の参考にするために
本気の恋を求めて、君を。
好きでもない君をモデルにした。
勝手に私の中でモデルにしたの。
あなたが私の小説の中で動いていることを想像した。
その内に私の中でなにかが変わってしまった。
君のことなんて好きじゃなかったはずなのに。
いつからだろう。
本気の恋(偽)から『本気の恋』になったのは。
真っ直ぐに私に向き合ってくれていたあなたに
真実を告げることができない、
意気地なしな私を許してください。―
僕の彼女はこんな手紙を僕の机に残し
いなくなっていた。
僕は知っていた。
彼女が僕に向ける想いが普通の人とは違うことを。
僕は知っていた。
そんな彼女に惚れてしまった自分を。
本当に結ばれなくってもいい。
一生懸命な姿を見ていられるのなら、
例え自分がただのモデルとして見られていても。
彼女は気づいてしまった。
自分が本気の恋をしていたことに。
僕は彼女のそばにもういられないのか?
そんな勝手なことさせない。
彼女が僕に話してくれたように
僕も彼女に伝えよう。
僕は彼女の手紙を机に置き
家を出た。
9/12/2023, 1:24:30 PM