あれは別府の頃だった
亀井の家の
でけー犬
噛みつきゃがった
幼い俺の手
あいつのばあちゃん
たまげてさ
泣かん泣かんと
味噌ぬりつけた
下関では
馬場君と
自転車駆って
隣町まで
やたらに
カマキリ採った夏
橋田んとこの
防風林
そっと覗けば
知らねー婆婆が
立ち小便を
してたっけ
小四までは呉に住み
どうしてアイツと遊んでいたのか
名前もはっきり覚えてねーや
イヤに懐いてくるチビだったな
一度招かれ
行ったアパート
やけに西日が強くてさ
万年床が
艶めかしくて
走って出てった
あれっきり
幾つもの
記憶の里が
あるけれど
俺はきっと
帰らない
3/25/2025, 1:20:23 PM