「あっ、そのチョコめっちゃ美味しそう! 一個ちょうだーい」
舞華ちゃんが今日も私のお菓子を狙ってくる。
ぐぬぬ……最後の一個なのに……
「この飴と交換するからお願い!」
図々しくも私の目の前に手を出し、チョコをもらう準備をしている。
まるで、くれると確信しているかのように。
その飴嫌いなんだよなー。
しかも、サイズ小さすぎないか?
「あー、うん。いいよ」
私は仕方なく交換をした。
少しずつ大切に食べていたのに……
「ありがとー。めっちゃ美味しい〜」
私が食べるはずだったのに。
はっきりと「嫌」と言えない自分にも腹が立つ。
でも、部活が一緒で気まずくなると困るしなぁ。
都合の良い時だけ、話しかけてくるのもやめて欲しい。
チョコを手放す勇気と、舞華ちゃんとの縁を手放す勇気が必要かもしれない。
お題【手放す勇気】
5/16/2025, 4:01:02 PM