文才がない『ままま』

Open App

特別な夜はあなたといっしょに。

昔、遠距離恋愛をしていたことがある。
日本と14時間の時差があり、時差の関係上、夕方が唯一相手とメールや電話でやり取りできる時間だった。

暑い夏の夕方、ビールを飲みながら夕食の準備をしていた。

いつものように電話でたわいもない話をしていると
『何してるの?』と聞かれ、
お酒飲みながらご飯の準備をしていたと答えた。

すると
『ちょっと待ってて』と電話の向こうで相手がいなくなった気配がした。
高揚した声で『お待たせ!!乾杯しよ!!』と言った。
相手もお酒を用意してきたのである。

電話越しに聞こえるグラスをぶつける音が本当に乾杯しているかのようだった。

日本が夕方の時、相手が住む国は0時近くで、時差はあるけれどお互い夜だった。
私にとって特別な夜になった。

1/22/2024, 12:59:21 AM