『理想のあなた』
あなたはまさに僕の理想を具現化させたようなものだ。疲れ切った身体を癒し、暖かく、そして優しく包み込んでくれる。まるで母の胎内に戻ったかのような安心感を抱きながら、僕は力を抜く。
しかし最近、ぼくはあなたと距離を置きつつある。5月に入ってからだろうか。徐々に蒸し暑くなってきたと同時に、あなたに包まれたいと思うことがなくなってきた。僕には他に、あなた以上に魅力的に思えてしまう対象が現れてしまったのだ。勘違いしないでほしい。決して嫌いになったわけではないのだ。ただ、今の僕にあなたは重い。
週末、僕はコインランドリーに出かけた。今までありがとう。優しく丸めてあなたを機械の中に詰め込むと、胸がちくりとした。家に帰ったら、押し入れの中からタオルケットを引っ張り出そう。あの柔らかでふわりと軽い、エメラルドグリーンのタオルケットを。
5/20/2023, 3:20:33 PM