NoName

Open App

~お祭り~
検索をかけると、「神や祖先をまつる」
とか「屋台や盆踊り、夏の行事」とか
「釣りで隣の人と糸が絡まる」、なんて
ワードが出てくるはず。
ロックのフェスもあれば、ビールの祭典も
ある。
そして、ここにも「お祭り」が。

『沈む船からの脱出!~リアル脱出ゲームの最高峰、貴方は出れるか~』
ずっと楽しみにしていたイベントだ。
本物の船を使って脱出ゲームをリアル体験出来る。
この手のイベント好きがこぞって参加して、動画配信もされるらしい。
やたら写メを撮ってる人やコスプレっぽい人もいるし、屋台も出てる。
まさにお祭り騒ぎだ。
早くスタートしないかなぁ。

~嵐が来ようとも~
近年のコロナ禍で船旅の需要は激減し、
当社の経営も赤字が続いていた。
今回の企画は社運がかかった一大イベントだ。

今さら中止でもしようものなら、船の前に会社が沈む。
例え、10年に一度と言われる大型台風が近づいて来ていても。
「今夜は嵐になるな…」

~澄んだ瞳~
澄んだ瞳って、どんなものなのか。
無邪気なワンコの目?
うちの飼い犬は俺を下に見てたので、つねに上から目線だった。
あどけないガキんちょの目?
近所の幼稚園児は、いつも家の壁に落書きしてた。ごついオッサンのいる隣家にはやらないのに。小さくても計算高いところあるよね。
雑誌の表紙を飾る綺麗なオネーサンの目?
オーディション番組とか、その裏事情とか見ちゃうと、なんかね。
とにかく、普通は子供か美人か動物だろうけど、いま明かり一つない浜辺で星を見上げる俺の瞳だって純粋そのものだ。
「ハラヘッタ」

~だから、一人でいたい。~
だいたい、人間が二人いるだけで何かしら揉め事が起こる。
確かに一人じゃ出来ないことはある。あるけど、集団のデメリットの方が多いと感じてしまう。

だって、ここが無人島で「みんなで力を合わせて生き抜こう!」と言った直後に、食料の配分で揉めてるわけで。
一人の方がまだ生き残れそうだ。
こんなことも有ろうかと、無人島サバイバルブックを読んでおいて良かった。まずは水と寝床の確保か。
やることがイッパイだ。

~明日、もし晴れたら~
魚が掛かってるかもしれないから
罠を見に行こう
ヘリが救助に来るかもしれないから
浜辺に行こう
あと、水を汲んで、食べ物を探して、
あとあと…
もし、こんな命懸けのお天気占いが
必要ない生活に戻れたら、冷房のきいた
快適なジムで体を鍛えよう。

結局、救出されたのは会場だった船が
沈没して3日後のこと、この時の体験を
本にして映画化されるのは2年後のこと、
ジムに通い始めるのは…、
明日もし晴れたら考えようかな。

8/1/2023, 3:21:02 PM