コウ

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12時を告げる時計の音が鳴り響く。
蜜月の時はもう終わりだ。名残惜しそうに彼は私から腕を離れる。
「じゃあ、また明日ね」
彼はそう言ってタクシーで帰っていった。
行ってほしくなかったけど、物分かりが良いことだけが取り柄の私は素直にその言葉を飲み込んだ。
いいんだ。明日も会えるから。
……だけど。
私は慣れないロングスカートの裾を摘み、ヒールの覚束ない足取りで翻って帰路に着く。
途中でガラスのショーケースに映る自分の顔を見る。

……このままでいいんだろうか?

9/7/2023, 3:25:56 AM