カオル

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火、と呼ぶには足りぬ。消えそうな灯火だとしても。

うまくいかなかった日は、いつも思い出す。始まりはなんだっただろう。誰かの言葉か、それとも何気ない日常の欠片か。
積み重ねた日々は、裏切らないと信じていたときもあった。それに懐疑的になるほどには、壁にぶつかっては、萎れる。萎れては、また、始める。うまくいかないことばかりだ。

強くあろうとするのは、弱いことだ。

理想の自分であろうとするのは、現状に満足していないからだ。

笑っていようとするのは、泣きたいからだ。

頑張るのはなんのため。綺麗事は言わないように、話そう。あのときの、始まりの私なら何と言う。恥ずかしげもなく理想を語り、捨てるものなどない全力で、駆け抜けていた私なら。今の私は何と言う。求められる実績とままならない現実のはざまで、保身に逃げそうになる私なら。

火と呼ぶには足りぬ。灯火は、ゆらぎゆらいで、今にも消えるか。消えるか。
否。
消えぬ、まだ消せぬ。消してはならぬ。
始まりの私よ。まだ足掻いてみようじゃないか。
強くあれ、理想の自分であれ。笑え。

9/2/2023, 3:26:57 PM