蓮池

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相合傘

突然降り出した雨を見上げてる生徒たちを横目に、
鞄にしまい込んでいた折りたたみ傘を広げる。
念のため入れてて良かった、と安心しているとクラスメイトの彼が雨を見上げていた。
いつも見ていることを気付かれないようにしていた、私の好きな人。

今は傘がなくて困ってるし、声をかけても良いかな。
いや、他の人もいるしあんまり話したことないのに迷惑かな。

そうやって悩んでいると、一人の女生徒が彼に話しかけた。
彼が頷くと、彼女の愛らしい水色の傘に二人が並んで雨の中を歩き出した。
彼が傘を持ってあげてて、彼女が濡れないように傘を少し傾けていた。
遠目からでも楽しそうな二人だった。
私は二人を見ないように傘を前に傾けて歩き出した。
歩くたびに、ぽっかり空いた相合傘は寂しさと恥ずかしさで埋まっていった。

6/19/2023, 1:53:36 PM