遠くの街へ行ってしまうの?
僕をおいて、行ってしまうの?
じゃあ、僕はどうなるの?
「あんたは独りさ。」母さんは言った。
僕をおいて遠くの街へ行った母さん。
僕は父さんの顔を知らないし、親戚も友達も特にない。どうしたら良いんだろうと考えて、考えて、考えて。あげくの果てには、消えたら楽だろうかと考えるようになった。家を出ると、そこには数人の子供がいた。僕くらいの女の子と男の子が10人程。
「うわっ、幽霊?!」
「きゃあー!」
と、女の子と男の子達が言った。
「ぼ…ぼ…く…ゎ…」
声が出なかった。
それを聞いて、女の子と男の子達はきゃあきゃあ叫んで逃げて行った。どうやら周りでは、僕の家は幽霊屋敷だとうわさになっているらしい。
そうさ。
僕は、独り。独りで迎えを待つ。遠くの街にいる母さんを待つ。死ぬ前にもう一度だけでもいいから会いたい。きっと僕はもうすぐ死んじゃうんだろうな。死んだら、この屋敷に戻ってきて、幽霊として母さんを待つよ。ずっとずっと。待つよ。
【遠くの街へ】
登場人物
僕…名前 黄海 綺羅(おうかい きら)
年齢 9歳
性別 男
2/28/2023, 10:44:46 AM