夢のような時間だった。
恋をしてた、付き合うことになった。最初は周りには目もくれず一緒にいた。彼女もそれを許してくれた。そうして半年が経った、あっという間で、煌めいていて、幻のような日々。「生きててよかったぁ」と毎日思えた。
だが、時が経つにつれて周りの観衆の視線が見えるようになった。私はその視線の矢を集中的に浴びた。
孤独だと思った。否、孤独ではない、大切な人がそばに居るのに、であるにも関わらず孤独だと思った。
一年がたった。彼女は少し慣れてきたのか落ちつきを得たとは感じていたが、気になるほどでもなかった。変わらず幸せだと、私は思っていた。クラスが別れると少し自由になった気がした。友達も出来た。だけど、それと同時に焦りや不安が増大した。「好き」という感情が、自分や、その周りに牙を向いて来たような気がした。
1年と半年が経った。彼女が冷めてきているのを感じた。焦った。ただ焦っていたような気がする。何かと理由をつけ押し付けがましくプレゼントをあげ、一緒にいる時間がもっと欲しいと思った。私は自立していない。彼女はとっくに自立していたのに。
男後輩の話や好きな男性アイドルの話が増えた気がした。彼女なりには話題をしぼり出してくれていたと今では思う。だが私の不安や焦りからなる強大な嫉妬心はそれを突っぱねた。途端、まともに話せなくなった。学校の帰り道で二人で話している時も、周りの視線の矢を受け、嫉妬心が暴れないように押さえつけながら歩いていた。そしたら素っ気ない返ししか出来なくなっていた。
いつしか日々成長する嫉妬心に負けてあからさまに興味のない素振りまでするようになった。どんどん彼女を傷つけていった。
そして気づけば、彼女の心も冷えきっていた。
夢が醒めた。
長いようで短く、今となってはかけがえのないものだった。夢が残していったのはとてつもない虚無と後悔だった。今となってはくだらない感情を、夢を壊す凶器にして、ついに夢を壊してしまった。彼女はいい人だった。別れを告げる時も気を使ってくれた。ただただ申し訳なかった。にも関わらずこのクズみたいな私はやり直したいと思ってしまった。
もし、夢が醒める前に戻れるなら、夢のつづきが見れるのだろうか。
3/20/2026, 3:07:54 PM