NoName,

Open App

姉の命令は絶対だ。
学校から帰ると姉が僕を呼んだ。
「バイトの面接に行くんだって?」
「だから何?」
「そこ座んな」と姉が椅子を指さした。
いやな予感はしたが逆らうと面倒だ。面接の時間もせまっている。

僕が椅子に座るやいなや、テキパキと僕の眉整え、肌のニキビ跡を消し、髪型も小綺麗に整えた。恐るべし美容師。
「よし、見た目の清潔感カンペキ!あんたは人柄はいいんだから、これで大丈夫。あとは落ち着いて。ほら行ってきな。」

そう言って僕に鏡を差し出した。
そこに映る僕の顔ときたら。

最悪だ。
履歴書に貼った僕のニキビ跡だらけのぼんやりした顔写真とぜんぜん違うじゃん!どうせなら写真とる前にやってくれてたら。

どうすんだよ、これ。
写真撮り直してる時間も無いんだぞ。
面接官が履歴書の写真と今の僕を見比べたらどう思うのかとか人柄勝負できんのか?とか、不安だけをを抱えながら僕は面接の場所に向かうしかなかった。








お題「最悪」

6/6/2024, 11:27:37 AM