微笑みだけで人が殺せる人間がいるのならば、それはきっと彼女に違いない。濡れ羽色の艶髪から覗く黒々とした切れ長の瞳が私を掴んで離さない。「私のこと、忘れないでよ」悪戯っぽく笑って彼女が言った。忘れられるわけがない。彼女との邂逅から数年経った今でも鮮明に思い出せるくらいなのに。
3/28/2024, 11:57:50 AM