午前授業を終えた放課後、進路相談を終え、さあ面倒な用事が終わった、帰ろうと昇降口を目指し階段を下りる。
「なんでもいいから、もっと真面目に考えなさいよ。まだいくらでも、どうにでもなるんだから」
私が何も決めていないせいでほとんど雑談しかしなかった面談時間の最後、先生はそう言って色んなパンフレットを手渡してきた。
「どうにでも、ね……」
学校の階段の踊り場で立ち尽くす。窓からはだだっ広いグラウンドで豆粒くらいの生徒らが走り回っているのが見えた。無声映画を観ているようで、校舎に私一人しかいないような気になる。
アイス買って帰るか、と私は太陽が眩しいその窓枠のなかの景色を見て、映画館のスクリーンの光を受ける薄暗い座席のように暗い校舎を抜け出した。
【窓から見える景色】
9/25/2024, 11:13:50 AM