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泣き声で始まった小さな命。
手のひらに収まるほどの温もりに、
すべてをかけて守りたいと思った。
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よちよちと歩き出す足音。
初めて呼んだ「ママ」「パパ」の声に、
笑いながら涙があふれた。
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ランドセルが背中には大きすぎて、
「行ってきます」と手を振る姿が、
誇らしくて、少し遠い。
そしてその言葉が増えるたびに、
ランドセルは少しずつ小さく見えていった。
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制服の襟を正す仕草。
部活帰りの汗と夕暮れの匂い。
閉ざしたドアの向こうから響くため息。
小さな背中はもう、こちらを振り返らない。
それでも時折見せる笑顔に、
大人になる君と、まだ子どもの君が重なっていた。
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そして、君はこの生まれ育った家を出ていく。
新たな一歩を踏み出すその朝、
「いってらっしゃい」と笑った声は、
ほんの少し震えていたかもしれない。
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結婚式の日。
照れくさそうに立つ姿に、
もう子どもじゃないんだな、と胸が痛む。
でも同じくらい、心からうれしかった。
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小さな産声がまた響く。
君の腕に抱かれて眠るその子は、
かつての君の面影を宿していた。
そしてまた新しい
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9/2/2025, 12:14:18 PM