羽紅

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私はいつのまにか歩いていた。
目の前にはどこまでも続く草原。
風に乗ってかすかに歌が聞こえる。
その聞こえてくる方向に歩いていくと、1人の青年が歌っていた。
青年は私に気づくと、「君は、迷子?ここは君のいていい場所じゃないよ。帰る場所、わかる?」と聞いてきた。
わかるわけがない。いつから、どこからこの場所にいるのかすらわからないのだから。
首を横に振ると、「向こうの光が出ているところに行ってみて。君のいるべき場所はそこにあるよ」という。
ぺこりと頭を下げ、光の指す方へと向かう。
眩しいような光の中を通り抜けると、病室の天井が見えた。
そこで気づく。
『私は死にかけていたのだ』と
あの青年は私を助けてくれたのだ。

4/29/2024, 12:00:23 PM