「明日、花火大会なんだって」
無機質なテレビの音だけが流れていた部屋の中で君の声がぽつりと響いた
「行きたいの?」
「無理なのは分かってるからいいよ」
君がテレビに向かって視線を移し、諦めたように笑ってこちらを向いた
「今が1番幸せだから」
テレビには君の顔写真と君の個人情報をプライバシーがどうとか関係なく淡々と述べるキャスター
「…明日、晴れたらベランダから見てみよっか」
「見えるの!?」
「見えるよ、天気が良ければ」
「うわ、めっちゃ楽しみ」
きっと長くは続かないであろう僕と君のこんな日常
何年か経ったあと
君の思い出の中に残っているのが少しでも笑顔に溢れた日々であって欲しい
そう思いながら夜空に咲く花に思いを馳せた
8/2/2022, 2:46:04 PM