ぬるま

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「ほんとはね、私、君のこと、ちょっとだけ嫌いなの」
そう言ってヤツが死ぬ夢。
展望台の向こう、海が見える崖の上にいつの間にか立っていて、振り向いて笑ったかと思えば飛び降りた。

目覚めたらヤツは助手席で寝ていた。
帰る道中の駐車場で2人、そのまま朝を迎えたようだった。
安らかに眠る表情に、先程見た夢が重なった。

額の汗を拭う。
汗を吸ったシャツが肌に張り付いている。
動悸と血流が早くなるそのために、浅い息を落ち着ける。
恐慌状態に陥った夢の内容は、霧のようにもう掴めなかった。

ただ、海風に煽られたヤツの髪と、歪んだ唇の形だけ覚えていた。


2024 1/23(火) 5『こんな夢を見た』

1/23/2024, 11:45:42 AM